「暮らしやすさ」は、人口や高齢化率だけでは測れません。 今回、人口あたりの商業集積(小売店・飲食店)、公民館数、 空き家率という3つの指標を組み合わせ、「生活基盤 充実度指数」という独自の総合指標を算出しました。
生活基盤充実度指数 TOP10
1位は東京都千代田区でしたが、2位に山形県尾花沢市 (人口14,971人)が 入ったのが今回の発見です。人口10万人あたりの 公民館数が47.4と全国トップクラスで、商業集積では都市部に及ば なくても、地域コミュニティの拠点数では大都市に 劣らないスコアになりました。生活の利便性は 「お店の多さ」だけで測れるものではないことが、 この結果からも分かります。
下位に並ぶのは、意外にも観光・温泉地
下位10自治体のうち4自治体を 熱海市・那須町・湯河原町・勝浦市のような観光・ 温泉地が占めています。これらの地域は空き家率が 軒並み30〜60%台と非常に高いのですが、空き家 率ランキングの記事でも触れた通り、別荘・セカンド ハウスとして季節的に利用されている住宅は、統計上 「空き家」としてカウントされます。つまりこれらの 地域の高い数値は、過疎による本当の空き家というより、 観光地としての性質を反映している可能性が高いと 考えられます。生活基盤充実度指数を読むときは、 こうした地域特性による数値の偏りに注意が必要です。
大都市(人口20万人以上)ではどこが強いか
大都市に絞ると、渋谷区・台東区・港区・新宿区など 東京都心区が上位を占めます。商業集積の高さが スコアを押し上げている一方、空き家率も都心部は 比較的高い水準にあり(相続・投資用物件の空室など)、 純粋な「暮らしやすさ」というより、都市の商業機能の 強さを反映した結果と見るのが妥当です。
「空き家が多い=衰退」と決めつけないでほしい
このスコアで最も伝えたいのは、空き家率という 数字の危うさです。熱海市や那須町の高い空き家率は、 過疎による本当の空き家というより、別荘・セカンド ハウスとして季節的に使われている住宅が多いことの 表れです。人口減少地域の空き家と、観光地の別荘を 同じ「空き家率」という数字で並べて比較すること 自体に無理がある、というのが今回の集計を通じて 得た実感です。スコアの順位そのものより、なぜその 順位になったのかという背景を見ることをおすすめ します。
Q&A:生活基盤充実度指数についてよくある質問
Q. 生活基盤充実度指数とは何ですか?
A. 人口や高齢化率だけでは「暮らしやすさ」は測れないと考え、日常生活に関わる3つのデータを組み合わせました。人口あたりの商業集積(小売店・飲食店の数)、人口あたりの公民館数、そして空き家率(こちらは低いほど良いので逆向きに)を、それぞれ統計的に標準化して合算しています。
Q. 生活基盤充実度指数が低い自治体には、どんな特徴がありますか?
A. 下位には熱海市・那須町・湯河原町・勝浦市のような観光・温泉地が複数含まれています。これらの地域は空き家率が30〜60%台と非常に高いですが、その多くは別荘やセカンドハウスとして季節的に利用されている住宅であり、居住実態のない「本当の空き家」とは性質が異なる可能性があります。
Q. 意外な自治体が上位に入ることはありますか?
A. あります。山形県尾花沢市は人口10万人あたりの公民館数が全国トップクラスで、大都市に劣らない総合スコアになりました。商業集積は都市部に及ばなくても、地域コミュニティの拠点となる公民館の数では、地方の自治体が上位に来ることがあります。
まとめ
生活基盤充実度指数からは、都市部の商業集積の強さと、 山形県尾花沢市のような地方都市のコミュニティ 拠点の充実という、異なる強さの形が見えてきました。 また、空き家率が高い地域が必ずしも衰退している わけではなく、観光地特有の事情が数値に表れている ケースがあることも分かりました。個別の記事と あわせて読むことで、数字の裏にある地域の実情が より見えてきます。