メインコンテンツへ移動
🇯🇵 全国自治体データランキング
地理・面積

空き家率ランキング分析:軽井沢町と夕張市、上位に並ぶ「性質の違う空き家」

総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)を全国1,059自治体で比較すると、全国平均15.7%に対し、1位の長野県軽井沢町は70.4%に達しました。上位には別荘地・観光地と、かつての産炭地という、まったく性質の異なる2種類の自治体が並んでいます。

公開日:2026年8月7日

データ更新日:2026年7月15日(e-Stat 公開データに基づき自動更新)

空き家率 全国1位
長野県 軽井沢町 70.4%

🏆 TOP3

#1
長野県 軽井沢町
70.4%
#2
栃木県 那須町
61.7%
#3
静岡県 熱海市
53.4%

空き家率は、総住宅数に占める空き家の割合を示す指標 です。総務省「令和5年(2023年)住宅・土地統計調査」を もとに、市・区および人口1万5千人以上の町村1,059自治体を比較したところ、全国平均は15.7%でした。しかし上位に並ぶ自治体をよく見ると、 「空き家率が高い」という同じ結果の裏に、まったく 異なる2つの背景があることが分かります。

空き家率TOP15

1. 長野県 軽井沢町
70.4%
2. 栃木県 那須町
61.7%
3. 静岡県 熱海市
53.4%
4. 山梨県 北杜市
46.1%
5. 和歌山県 白浜町
43.2%
6. 長野県 茅野市
41.5%
7. 千葉県 勝浦市
41.0%
8. 静岡県 伊東市
39.5%
9. 高知県 土佐清水市
39.5%
10. 北海道 夕張市
39.4%
11. 北海道 三笠市
39.3%
12. 徳島県 三好市
37.6%
13. 北海道 歌志内市
36.8%
14. 岩手県 八幡平市
36.1%
15. 三重県 尾鷲市
35.1%

1位の長野県 軽井沢町は空き家率70.4%と、住宅の実に7割近くが空き家という結果でした。 TOP15のうち7自治体は、軽井沢町・那須町・熱海市・北杜市・白浜町・ 茅野市・伊東市といった、別荘やセカンドハウスの 需要が高い観光地です。残りは北海道夕張市・三笠市・ 歌志内市など、かつて炭鉱で栄えた地域でした。

「二次的住宅」としての空き家 vs「放置された」空き家

別荘地の空き家率が高いのは、所有者が普段は都市部に 住み、週末や夏季だけ利用する「二次的住宅」が 住宅・土地統計調査上は空き家に分類されるためです。 軽井沢町や熱海市の空き家の多くは、持ち主がいて 管理もされている別荘・セカンドハウスであり、 いわゆる「放置された廃屋」とは性質が異なります。

一方、夕張市や三笠市のような旧産炭地では、1960〜 70年代の炭鉱閉山以降、人口が長期にわたって流出し 続けており、住む人がいなくなったまま放置される 住宅が増えています。経常収支比率ランキング分析の 記事で紹介したとおり、夕張市は財政破綻の歴史を 持つ自治体でもあり、空き家対策に十分な予算を割く 余裕が乏しいという構造的な問題も抱えています。

💬 運営者のひとこと
自治体職員として空き家対策に近い業務に触れた経験 から言うと、この2つの空き家は行政の対応方針が まったく異なります。別荘地の空き家は、所有者への 課税や管理条例で対応する「資産」としての空き家 ですが、旧産炭地の放置空き家は、倒壊や治安の 悪化を防ぐための「除却(取り壊し)」が課題になる ことが多く、財源の確保自体が難しい自治体も 少なくありません。同じ「空き家率」という数字でも、 その地域が抱えている本当の課題は大きく異なる ことを、この統計を見るたびに感じます。

大都市(人口20万人以上)で見ると、上位は地方都市

1. 広島県 呉市
24.7%
2. 和歌山県 和歌山市
19.9%
3. 北海道 函館市
19.3%
4. 山口県 下関市
19.1%
5. 岐阜県 岐阜市
18.3%
6. 長崎県 佐世保市
18.1%
7. 徳島県 徳島市
18.1%
8. 茨城県 水戸市
18.0%
9. 青森県 八戸市
17.9%
10. 長崎県 長崎市
17.9%

人口20万人以上の都市130自治体に絞ると、1位は広島県呉市(24.7%)でした。呉市はかつて海軍工廠の街として栄え、 戦後は造船業の街として発展しましたが、産業構造の 変化とともに人口減少が続いています。上位には 和歌山市・函館市・下関市・佐世保市など、かつて 港湾・造船・水産業で栄えた地方中核都市が多く 並んでいます。

逆に空き家率が低いのは、新興住宅地

1. 秋田県 美郷町
3.6%
2. 沖縄県 中城村
3.9%
3. 奈良県 平群町
4.3%
4. 宮城県 富谷市
4.6%
5. 沖縄県 南風原町
4.7%
6. 埼玉県 志木市
5.2%
7. 埼玉県 八潮市
5.3%
8. 福岡県 須恵町
5.6%
9. 兵庫県 稲美町
5.7%
10. 愛知県 東郷町
6.2%

空き家率が最も低かったのは秋田県美郷町(3.6%)でしたが、下位10自治体には横浜市泉区・さいたま市 緑区・横浜市都筑区など、比較的新しい住宅開発が 進んだ大都市近郊の区が多く含まれています。宮城県 富谷市も名を連ねており、住宅の築年数が浅い地域 ほど、空き家率が低く抑えられる傾向がうかがえます。

データを読むときの注意点

この調査は、市・区および人口1万5千人以上の町村 のみを対象としているため、人口の少ない小規模な 村では今回のランキングに含まれていません。また、 住宅・土地統計調査は5年に一度の実施であるため、 今回のデータは2023年10月1日時点のものです。 空き家対策特別措置法の施行(2015年)以降、多くの 自治体で除却・活用が進められているため、次回 2028年調査では数値が変化している可能性があります。

空き家率が高い街を住まい選びでどう見るか

別荘地系の空き家率の高さは、移住先や別荘購入を 検討する人にとってはむしろポジティブな材料にも なり得ます。中古の別荘や別荘地の土地が比較的 手に入りやすい可能性があるためです。一方、旧 産炭地系の空き家率の高さは、人口減少や空き家の 管理不全といった課題のシグナルであることが多く、 移住を検討する際は、自治体の空き家バンク制度や リフォーム補助の有無なども含めて確認することを おすすめします。同じ「空き家率が高い街」という 言葉でも、その先にある暮らしの実態は大きく異なります。

まとめ

空き家率ランキングの上位は、別荘・セカンドハウスの 需要が支える観光地と、産業の衰退とともに人口が 流出した旧産業都市という、正反対の背景を持つ 自治体で構成されていました。同じ「空き家率が 高い」という数字でも、それが「豊かさの副産物」 なのか「衰退の結果」なのかを見分けるには、その 自治体の人口動態や産業構造もあわせて確認する 必要があります。

空き家率ランキングを見る経常収支比率ランキング分析を見る社会増減率ランキング分析を見る

筆者について:元自治体職員・現データコンサルタント。行政・民間で10年以上、 統計データの分析と可視化に携わっています。運営者情報を見る →
ランキングを見る →