人口の「入れ替わり率」とは

自治体の人口統計というと、増えているか減っているか (転入超過率)に注目が集まりがちです。しかし、転入者数と 転出者数を単純に足し合わせた「入れ替わり率」を見ると、 全く別の実態が見えてきます。たとえ人口が全く変わって いなくても、転入と転出が両方とも活発であれば、住んでいる 顔ぶれは毎年大きく変わっていることになります。

1. 福島県 大熊町
53.7%
2. 福島県 富岡町
47.0%
3. 東京都 青ヶ島村
40.8%
4. 福島県 浪江町
38.7%
5. 沖縄県 竹富町
30.9%
6. 鹿児島県 十島村
30.5%
7. 鹿児島県 三島村
30.1%
8. 沖縄県 与那国町
28.2%
9. 大阪府 田尻町
25.3%
10. 北海道 音威子府村
23.8%
11. 東京都 御蔵島村
23.5%
12. 福島県 葛尾村
22.9%
13. 沖縄県 渡嘉敷村
22.4%
14. 東京都 利島村
21.7%
15. 東京都 小笠原村
20.2%

上位に並ぶ、3つの異なるパターン

入れ替わり率が高い自治体をTOP15まで見ていくと、 背景が全く異なる3つのグループに分かれます。

パターン1・原発事故からの復興途上にある町
福島県 大熊町福島県 富岡町福島県 浪江町福島県 葛尾村
東京電力福島第一原発の事故で避難指示が出た町です。 帰還した住民と、除染・復興工事に従事する作業員の 転入出が入り混じり、入れ替わり率を大きく押し上げて います。大熊町は入れ替わり率こそ全国1位ですが、 転入超過率はプラスに転じており、避難指示解除後の 帰還が進んでいる町であることも分かります。
パターン2・人口の少ない離島
東京都 青ヶ島村沖縄県 竹富町鹿児島県 十島村鹿児島県 三島村沖縄県 与那国町東京都 御蔵島村
いずれも人口が数百人規模の離島です。母数が小さいため、 役場や診療所、観光関連の仕事で数人が入れ替わるだけで 入れ替わり率の数字は跳ね上がります。地域おこし協力隊や 季節雇用の観光スタッフの出入りも影響していると考えられます。
パターン3・都心のワンルームが多い区
名古屋市 中区大阪市 浪速区大阪市 中央区東京都 中央区
単身世帯向けの賃貸住宅が集積するエリアです。進学・ 就職・転勤のたびに引っ越す若い単身者が多いため、 人口自体は安定していても、住民の顔ぶれは数年単位で 大きく入れ替わっています。

入れ替わりが少ない、「静かな人口減少」の町

逆に入れ替わり率が最も低いのは、山形県・秋田県・ 新潟県・福井県などの内陸の中規模都市や町村です。

秋田県 八峰町秋田県 藤里町新潟県 五泉市秋田県 羽後町埼玉県 東秩父村山形県 大蔵村

これらの自治体は、転入超過率もマイナス(人口減少)では あるものの、その減り方は転出者が多いからではなく、 そもそも人の移動自体が少ないことが原因です。新しい 住民がほとんど入ってこないまま、既存の住民がそのまま 高齢化していく「静かな人口減少」とでも呼べるパターンで、 パターン1・2で見た「入れ替わりの激しい人口減少」とは 性質が異なります。

Q&A:人口の入れ替わり率についてよくある質問

Q. 人口の入れ替わり率が最も高い自治体はどこですか?
A. 福島県 大熊町で、人口の53.7%が1年間で転入・転出しています(全国平均は6.3%)。ただし転入超過率は+6.7%で、入れ替わりが激しいことと人口が増えているかどうかは別の話です。

Q. 人口の入れ替わり率が最も低い自治体はどこですか?
A. 秋田県 八峰町で、入れ替わり率は2.6%にとどまります。転入も転出もほとんどなく、同じ住民がそのまま高齢化していく「静かな人口減少」のタイプです。

Q. 入れ替わり率と転入超過率は何が違いますか?
A. 転入超過率(転入-転出)は人口が増えているか減っているかを示す指標です。一方、入れ替わり率(転入+転出)は、母数となる住民のうち何%が1年間で新しい顔ぶれに変わったかを示します。転入超過率がゼロでも、入れ替わり率が高ければ「人口は変わらないが住んでいる人は毎年大きく変わる」自治体だということになります。

まとめ

「人口が増えているか減っているか」という転入超過率だけを 見ていると、住民がどれだけ入れ替わっているかという、 もう1つの重要な側面を見落としてしまいます。同じ 人口減少でも、パターン1・2のように活発な入れ替わりの 末の減少なのか、パターン3のように住民自体は安定した 減少なのかによって、地域が抱える課題や必要な対策は 大きく異なります。

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