婚姻率ランキング分析:同じ東京都でも、都心の区と郊外の市でここまで差が出る理由
人口1,000人あたりの婚姻件数(婚姻率)を全国1,575自治体で比較すると、全国平均2.82件に対し、上位12自治体のうち9自治体を東京都の特別区が占めました。一方、同じ東京都内でも八王子市・町田市など郊外の都市は平均以下にとどまり、同じ都道府県の中でも婚姻率に大きな差があることが分かりました。
公開日:2026年8月6日
データ更新日:2026年7月15日(e-Stat 公開データに基づき自動更新)
🏆 TOP3
婚姻率は、人口1,000人あたりの年間婚姻件数を示す 指標です。婚姻件数は結婚した夫婦の居住地をもとに 集計されるため、独身の若い世代がどれだけその地域に 集まっているかを映す、少し変わった切り口の指標 でもあります。全国1,575自治体の平均は2.82件でした。
婚姻率TOP12
1位の山梨県 忍野村は人口1,000人あたり10.28件と、全国平均の3倍以上に達しました。TOP12のうち9自治体を東京都の特別区(台東区・墨田区・千代田区・中央区・中野区・港区・目黒区・渋谷区・品川区)が占めています。子ども人口割合ランキングでは 目立たない都心区が、婚姻率という切り口では上位に 並ぶのは興味深い対比です。
婚姻届の多くは、平日の役所窓口で提出されます。 職場が都心にある人にとっては、住民票のある区役所 よりも、勤務先近くの区役所で手続きを済ませる方が 都合が良いというケースも一定数あると考えられ、 こうした実務的な要因も、都心区の数値を押し上げて いる一因かもしれません。
同じ東京都でも、都心の区と郊外の市で対極の結果に
人口30万人以上の大都市に絞ってみても、上位は中野区・ 品川区・新宿区・豊島区といった東京都心の区が並びます。 ところが同じ東京都内でも、東京都 八王子市・東京都 町田市といった郊外の市は2.89件前後と、全国平均を下回る水準にとどまっています。 都心の区には、就職や進学を機に上京した独身の 若い世代が集中しやすく、そうした層が結婚するタイミング でそのまま都心に住み続けるケースが多いことが、この 差の背景にあると考えられます。
全国1位は、なぜ東京都心ではなく山梨県の村なのか
今回のランキングで唯一、東京都心の区を上回って 全国1位となったのが山梨県忍野村です。人口9,237人という小規模な自治体のため、婚姻件数がわずかに 変動するだけで比率が大きく動く可能性がある点には 注意が必要ですが、富士山麓の工業団地に勤務する 若い世代の転入が続いていることが、婚姻率の高さに つながっていると考えられます。人口5,000〜1万人 規模の自治体では、こうした特殊要因による数値の 振れが起こりやすいため、上位であっても一つの参考 情報として見るのが適切です。
婚姻率は「子育てのしやすさ」とは別の指標
注意したいのは、婚姻率が高い=子育て環境が良い、 という意味ではない点です。子ども人口割合ランキング 分析の記事では、東京都心の区はむしろ子ども人口 割合が低い傾向にあることを紹介しました。婚姻率が 高くても、結婚後に郊外や地方へ転居する夫婦が 多ければ、その街の子ども人口割合には反映されません。 婚姻率はあくまで「結婚のタイミングでその街に 住んでいた人がどれだけいたか」を示す指標であり、 その後の子育て環境を示す指標とは切り分けて考える 必要があります。
データを読むときの注意点
婚姻件数の統計は、婚姻届を提出した際の夫婦の住所を もとに集計されています。結婚を機に転居するケースも 多いため、統計上の「婚姻率が高い自治体」が、必ずしも 結婚生活を始めた後もそのまま住み続けている自治体 とは限りません。また、人口の少ない自治体では婚姻 件数が数件変わるだけで比率が大きく動くため、人口 3,000人未満の自治体は今回の集計対象から除外して います。ランキング上位・下位の細かな順位よりも、 都市規模ごとの大まかな傾向として捉えるのが実態に 近い読み方です。
まとめ
婚姻率ランキングは、東京都心の特別区が全国トップ クラスを占めるという、直感とは異なる結果になりました。 同じ東京都内でも都心と郊外でこれほど差が出ることは、 「東京は一つではない」ことを数字で裏付けています。 結婚や子育てのタイミングで住む場所を考える際は、 婚姻率だけでなく、出生率や子ども人口割合など複数の 指標をあわせて確認することをおすすめします。