外国人人口比率ランキング分析:1位は人口の19%を占める長野県の農村
全国1,740自治体の外国人人口比率を比較すると、全国平均1.35%に対し、1位の長野県川上村は19.0%と、住民のおよそ5人に1人が外国籍でした。高原野菜の産地・自動車部品の企業城下町・東京都心の区という、性質の異なる3つのパターンが上位を占めています。
公開日:2026年8月5日
データ更新日:2026年7月15日(e-Stat 公開データに基づき自動更新)
🏆 TOP3
日本で暮らす外国人住民の数は近年増加を続けていますが、 その分布は全国一様ではありません。全国1,740自治体で外国人人口比率(人口に占める外国人住民の 割合)を比較すると、全国平均1.35%に対し、1位の長野県川上村は19.0%と、平均の14倍以上に達しました。全国的にはまだ 少数派とはいえ、特定の地域では外国人住民が コミュニティの重要な一部になっていることが、 今回のデータからはっきりと見えてきます。人口減少 が進む日本社会にとって、この傾向は今後さらに 重要性を増していくと考えられます。
外国人人口比率TOP15
1位の長野県川上村は、産業構造分析の記事でも「第1次 産業就業者比率が全国トップの農業の村」として紹介 した、高原レタス栽培で知られる村です。TOP15には2自治体を長野県が占め、いずれも高原野菜の産地として、 農業の担い手を海外から受け入れています。標高 1000m級の高原という共通の気候条件が、レタスなど 高原野菜の一大産地を形成し、その労働需要が外国人 比率の高さに直結しているという構図です。
3つの異なるパターン
TOP15の顔ぶれは、大きく3つのパターンに分かれます。 1つ目は川上村・南牧村(長野県)のような高原野菜の 産地で、農作業の担い手として技能実習生をはじめと する外国人労働者を受け入れています。2位の群馬県 大泉町は、産業構造分析の記事で紹介したSUBARUの 主力工場を抱える町で、日系ブラジル人住民が多いこと で知られています。北海道占冠村は、単独世帯割合と 高齢化率のU字関係を扱った記事でも「若い単身者が 多い町」として紹介した、大規模スキーリゾート (トマム)を擁する町で、リゾート運営に伴う外国人 スタッフの存在が背景にあると考えられます。
2つ目は6自治体が該当する、岐阜県美濃加茂市・可児市、茨城県 常総市、静岡県菊川市、愛知県高浜市・碧南市といった 製造業の集積地です。いずれも自動車関連産業を中心と した工場が立地し、外国人労働者が地域の産業を支えて います。3つ目は3自治体が該当する東京都豊島区・新宿区・荒川区と いった都心の区で、留学生や多様な業種で働く外国人 住民が集まる、国際色豊かなエリアです。
このほか、埼玉県蕨市は、クルド系住民をはじめとする コミュニティが形成されていることで知られ、メディア でもたびたび取り上げられている自治体です。
外国人住民が支える地域産業
今回のランキング上位の多くは、農業・製造業という、 国内の労働力だけでは担い手が不足しがちな産業を、 外国人労働者が支えている構図が共通しています。 産業構造分析の記事で紹介した「農業の村」「ものづくり の町」の多くが、今回の外国人人口比率ランキングにも 再登場しているのは偶然ではありません。人口減少と 高齢化が進む日本において、外国人労働者の存在は、 特定の地域の産業と人口を維持するうえで、すでに 欠かせない役割を担っていることが、このデータからも 読み取れます。
外国人住民がほとんどいない自治体もある
今回の集計では、外国人住民が1人も登録されていない 自治体も4町村ありました。人口規模が小さく、産業 基盤も限られる離島や山村では、外国人労働者を 受け入れる産業自体が少ないことが背景にあると 考えられます。全国平均が1.35%にとどまっていることからも分かるとおり、外国人 住民の存在感が大きい自治体は、全体で見ればまだ 少数派です。地域による偏りの大きさは、高齢化率や 人口密度といった他の指標以上に際立っていると 言えるでしょう。この偏りの大きさこそが、外国人 人口比率という指標の最大の特徴だと言えます。
労働力不足と外国人材受け入れの広がり
日本では少子高齢化に伴う労働力人口の減少が進んで おり、農業・製造業・介護・宿泊業など、幅広い産業 で人手不足が課題となっています。完全失業率 ランキング分析の記事では、地域によって雇用情勢に 大きな差があることを紹介しましたが、その一方で、 今回上位に並んだ農業・製造業の町のように、外国人 労働者の受け入れによって人手不足を補っている 地域も少なくありません。技能実習制度は2027年を めどに新たな「育成就労制度」へ移行することが 決まっており、今後もこうした地域における外国人 住民の比率は変化していくと見られます。
こうした産業別の受け入れパターンは、都市部の 国際化とは異なる性質を持っています。東京都心の 区に住む外国人住民は、留学・専門職・国際結婚 など多様な背景を持つのに対し、地方の農業・製造業 の町では、特定の産業の労働力として受け入れられて いるケースが中心です。同じ「外国人人口比率が 高い」という結果でも、その内実は地域によって 大きく異なることが、今回のランキングからも 見えてきます。
データを読むときの注意点
外国人人口は住民基本台帳に登録されている外国人住民 の数であり、観光客や短期滞在者は含まれません。また、 技能実習生や特定技能などの在留資格別の内訳は今回の データには含まれておらず、どのような資格・目的で 滞在しているかまでは分かりません。人口規模が小さい 自治体では、少人数の増減でも比率が大きく変動しやすい 点にも注意が必要です。将来的に在留資格別のデータが 公開されれば、技能実習・特定技能・留学・永住といった 属性ごとに、より詳細な地域分析が可能になると 期待されます。
まとめ
外国人人口比率ランキングでは、全国平均1.35%に対し、上位は7〜19%という高い水準に達しました。 農業の村・製造業の町・都心の区という、成り立ちの 異なる3つのパターンが浮かび上がった点が、 このランキングの面白さです。
人口減少が続く日本において、外国人住民の受け入れは 今後さらに拡大していく可能性があります。自然増減率 ランキング分析の記事で見たとおり、自然増加している 自治体はわずか34にとどまる一方、外国人住民の増加が 地域の人口を下支えしているケースも増えています。