高齢者施設数ランキング分析:旭川市が「福祉の街」と呼ばれる理由、東京23区が手薄になりがちな背景
老人ホーム1施設あたりの高齢者人口を全国1,646自治体で比較すると、全国平均1,600人に対し、人口20万人以上の都市に絞ると北海道旭川市が最も余裕があり、東京23区の多くが施設の手薄さで下位に沈む結果になりました。老人ホームが1つもない自治体も全国に94あります。
公開日:2026年8月8日
データ更新日:2026年7月15日(e-Stat 公開データに基づき自動更新)
🏆 TOP3
老人ホーム(介護老人福祉施設・養護老人ホーム・有料 老人ホームの合算)1施設あたりの高齢者人口は、数字が 小さいほど施設に余裕があることを意味します。厚生 労働省「社会福祉施設等調査」等をもとにした社会・ 人口統計体系のデータを用いて、全国1,646自治体の平均は1,600人でしたが、老人ホームが1つもない自治体も全国に94あり、多くは高齢者人口自体が少ない小規模な町村 でした。地方の中核都市と、東京23区のような大都市 中心部とでは、施設の集積度に大きな違いがあることも 見えてきました。65歳以上人口が増え続ける中、 この差は今後さらに意味を持ってくるテーマです。
全自治体ランキングTOP15
全自治体を対象にすると、上位には人口千人未満の 小規模な町村が並びます。高齢者の絶対数が少ないぶん 施設あたりの余裕も大きくなるため、これだけで 「介護環境が充実している」とは言い切れません。町村 単位で施設を1つでも運営できているという事実自体は 評価できますが、都市部との単純比較には向かない 結果と言えます。人口減少が進む地域ほど、こうした 小さな拠点をどう維持していくかが、今後の課題に なりそうです。
人口20万人以上の都市では、北海道旭川市が1位
人口20万人以上の都市130自治体に絞ると、北海道旭川市が1位でした。旭川市は 道北エリアの医療・福祉の拠点として、周辺市町村 からの入所者も受け入れる役割を担っており、「北海道 第二の都市」でありながら人口規模の割に施設数が 多い、福祉インフラの集積地としての性格を持って います。宮崎市・佐賀市・青森市・前橋市など、地方の 中核都市が上位に多く並んだのも特徴的です。
逆に東京23区の多くが、施設の手薄さで下位に
人口20万人以上の都市の中で、老人ホーム1施設あたりの 高齢者人口が最も多かったのは東京都豊島区で、旭川市 の約9倍という差がありました。ワースト10のうち7自治体を東京都の特別区が占めています。都心部は 地価が高く、大規模な施設用地を確保しにくいことが、 この差の背景にあると考えられます。
データを読むときの注意点
今回の老人ホーム数は、介護老人福祉施設(特別養護 老人ホーム)・養護老人ホーム・有料老人ホームの3種類 を合算したものです。グループホームや老人保健施設、 サービス付き高齢者向け住宅など、この統計に含まれて いない高齢者向け住まいも別途存在するため、実際の 介護インフラはこの数字が示す以上に多様です。また、 今回のデータは2023年度時点のもので、施設の新規 開設・閉鎖により今後数値が変動する可能性がある点も あわせてご留意ください。
親の介護・自分の老後を考えるときの視点
この指標は、将来の介護を見据えて住む場所を選ぶ際の 参考になりますが、施設数だけでなく「入所の順番待ちが どれくらいあるか」「特別養護老人ホームか有料老人 ホームか、費用感がどう違うか」といった要素も、実際の 利用しやすさを大きく左右します。旭川市のように 周辺市町村からの受け入れも担う「福祉拠点都市」で あっても、人気の施設は満床で待機が発生している ケースもあるため、この統計はあくまで「街全体としての 施設の厚み」を見る指標として捉え、実際の入所可否は 自治体の窓口や施設への直接確認が欠かせません。
まとめ
高齢者施設数ランキングは、地方の医療・福祉拠点都市 が上位に来る一方、地価の高い大都市中心部では施設が 手薄になりやすいという、都市構造の違いを浮き彫りに しました。ただし、施設数だけで介護環境の良し悪しを 判断するのは早計で、在宅介護サービスの充実度や 待機状況もあわせて確認する必要があります。人口 密度・財政力・医療といった他の指標と重ね合わせる ことで、その街が高齢期の暮らしにどれだけ備えて いるか、より立体的に見えてくるはずです。